「つながる脳科学」を読む
一貫したストーリーというよりも、バラバラとトピックを紹介していく本なので、感想もバラバラと興味深かったところを列挙。誤認があればどなたかご指摘お願いします。脳は難しいけど、面白いね。
- 脳研究のジャンルでは、空間記憶が人気。それに加え、視覚、嗅覚、運動制御、心では病気との関連で恐怖・不安が人気がある。
- 脳をより細かく、深く、広く、早く、長く見る技術開発によって新しい発見が生まれている。
- 空間認知のシステム≒エピソード記憶のシステム
時間感覚は空間の占める物の「変化」と自分の知る情報の「順序」の2つから成り立つ。
- シナプスは何も刺激を与えなくても、自発的に開口放出が起こる。
さらにシナプス1個に閾値を超える信号が入力されても、開口放出が起こる確率は30%しかない。重要な結合ではシナプス数を増やし、確率の低さを数(頻度)でカバーしている。
←これは身体の他の部位と違うように感じるんだけど、どうなんだろう。
←脳研究的には新しくないかもしれないけど、美術の本を読んでいると”並置”は描写の重要な基本技術なので、勝手に納得。(並置することで、同等のものという意味付けができる)
- さらに、出力ニューロンは情報を取捨選択する=入力情報の特徴を抽出して表現する→ばらばらに発火するニューロン集団からシナプス強度は弱める。一方まとまりをもって発火するニューロン集団からのシナプス強度は強化する。
- 情動=感情の動き。神経系や免疫系、内分泌系といった様々な身体のシステムが統合的に働いた結果としての生理反応。情動に反映される機能=身体反応・状況判断・予測など。
- 神経疾患:臓器や神経細胞の異常が明らか
一方の精神疾患:”今の技術では”異常が見つからない心の病気
⇒すべてを脳疾患として理解できる時代が来る。
- 情動:秒単位で生じる恐怖・報酬などの早い反応 (瞳孔、毛逆立、血圧など)
気分:何週間~何か月単位
- 脳研究で言う「発火」は膜電位が閾値を超えることという意味だけど、いい言葉だね。他でも使っていきたい。
- 別で見た生物学・化学・物理学は凋落し、医学系の生命科学が引っ張っていく、というのはこの本を読むと、脳の理解においてはそうかもなと思わせるものがある。身体の仕組みの理解の基本は医学なので、研究の目的を設定するには医学的知識が必要になるんだろうな。
- 仮説を検証するための実験の仕方とか面白かった。AとBの関係が分かっても因果関係がわからないので、それを実証するとか。
●ヒントとなりそうなキーワードがたくさんありそうなのに消化できていない現状。引き続き見て行きたいカテゴリーです。
つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)
- 作者: 理化学研究所脳科学総合研究センター
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/11/16
- メディア: 新書
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